野田岩のうなぎ

ついこないだ、土用の丑の日があったりしたので、
なんだかうなぎを食べた思い出を、思い出してみる。


「おい!お前ら、うなぎ好きか?」

 えっ?うなぎ??
 あ、あぁ、いや、嫌いじゃないけど、
 こんなにクソ暑い日に、うなぎなんか食えるかよ・・・でも・・・
 

「はい!もちろんです!本部長!」


当時、私がまだサラリーマンだったころ、
自分のいた営業本部の本部長(一番偉い人)に連れて行ってもらったのが、
野田岩という、うなぎ屋だ。


偉い人に、「うなぎ好きか?」といわれて、
仮にうなぎは苦手だったとしても、「あんまり好きじゃないです。」と答えるヤツは、きっと出世しない。
幸い、私はうなぎ嫌いじゃなかったので、いいんだけども。。


入社した直後、私はある部署に営業として配属された。

そこの部署は、まぁ絵に描いたような体育会系の部署で、
固定のクライアントとやりとりをするというよりは、
アポイントをとって、がんがん営業してこい、新規でお客をもってこい、というような部署だった。


当然、新入社員の私は、その最前線の兵隊であり、
真夏の今頃は、汗でべたべたになったYシャツをまくりながら、
企画書がぎっしり詰まったカバンと上着を乱暴に片手で持ちながら、
断られるのを覚悟で、次から次へお客様のところへ出向くというような日々だった。
朝から昼間で、当たれる限り、営業をかける、そして、昼食後、午後も別のお客様へ。。という繰り返し。


肉体的にも精神的にも疲弊してくるし、だんだんとモチベーションも下がってくる。
そりゃ、どんどん商談が決まればそんなこともないんだろうが、ビジネスはそんなに甘くない。


そんな中、たぶん、ちょうど土用の丑の日だったと思う。
歴史のある、うなぎ屋さん。野田岩


オフィスのあるビルを出て、すぐに本部長自らタクシーを止め、

「おい、お前ら、乗れ」

なんつって、言われて、VIP気分で野田岩までタクシーで乗りつけたことを覚えている。


あの時の本部長、かっこよかったなぁ。


もちろん、本部長のおごり。
しかも、こういうとき、領収書を切らない。それが本部長の誠意の見せ方だった。
・・・昼食代だから当たり前なんだけどね。


なんていうか、
至極どうでもいいことなんだけど、


単純に、こういう上司とのやりとりって、
なかなか貴重な体験だったんだなぁと、自営業になった今、思う。




あ、、、え?うなぎを食べた感想??
美味しかった、、と思います。

ってか、比べて味が分かるほど、美味しいウナギをたくさん食べてこなかったもんで、正直わかりません。はい。