ブレないということ

他人の評価や周りの視線ばかりが気になって、自分のスタイルを貫きたくても結果的に妥協したり迎合しちゃったりするような弱い自分にとってはなかなかできない芸当なのだが、首尾一貫、矜持とか美学とか、そういうのが全くブレてないなぁ、、ってヤツがたまにいる。


先日、小学校の時の同級生と飲む機会があった。

半年ぶりくらいに会ったその席で、なんの流れだったか、
「他人に評価されるされない」みたいな話になり、ふと、図工の時間に作った作品の話になった。

人一倍器用で、図工の時間に作品を提出すれば、
出す作品出す作品、常にA評価をとっているようなそんな彼だったが、
一度だけ、土鈴(陶器の鈴のようなもの)を作ったときに、B評価を取ったんだそうだ。
ドレイ(土鈴)、、、、久しぶりに聞いた。でも、すごく覚えてる。

ボクは、、そのとき、ドーム状の鈴の形から安直に想像して、
オバケのQ太郎の形の土鈴を作ったんだっけ。。今思えばオリジナリティの欠片もないな・・・。

いつもは常にA評価だった彼が初めて1ランク下の評価をされたんだから、
普通の子だったら「何がだめだったんだろう?」とか悔しがるところだと思うんだけど、
彼は、「あれ?先生はこういう感じ、キライだったのかな?でも自分では納得いくものが作れたから、満足。」と思っていたそうで。。

彼曰く、「ワシ、昔から他人の評価っていうのにはあんまり興味が無くて、自分の作りたいものを自分の納得いく形で作れれば、それが一番シアワセなんだ」と。

あぁ、思えば、コイツは昔からこんなヤツだった。
全くブレていない、彼の矜持と美学。スゴイや。

ピュアな眼差しでこんなことをサラッと言ってのける彼の姿が眩しい。

自分の思ったことを自分の納得いくまでやれれば、仮に報われなくてもそれでいい。。
それって、ボクにはあまり無い要素で・・・。

他人の目や他人の評価ばっかり気にして何でもやってきた自分にとっては、
心にぐさっと刺さる言葉と姿勢だったりもするんだ。


彼は更に続ける。
ラディカルな言い方に聴こえるかもしれないけど、
彼は「勝ち負けとか、基本的にはどうとも思わない」らしい。

例えば麻雀をやっているとき、
自分の作りたい手役が作れてて、自分のスタイルがつら抜けていれば、
仮にそれが仇になって振り込んで負けても全然構わないのだそうだ。(笑)

彼は大まじめにこんなことを言う奴だ。
ウソだぁ、負けたら悔しいよ。。

でも、彼はまっすぐにこっちを見て言うんだ。

TVゲームをやっているときでもそう。ボスに負けようが失敗しようが、
自分の納得いくやりかたさえしていれば、どーってことないんだ。
自分なりのやりかたで修正して、でもプレイスタイルは絶対に曲げないね(笑)、と。

件のエピソードのとおり、彼は自分の世界をしっかり持っている人だ。
自分の時間と領域を犯されるのがすごくイヤだ、とも言っている。
こんなワシ、結婚できるのかなぁ、なんてことも。

たぶん、かなりの頑固者ではあると思う。
でも、そういう彼の感じをわかってくれる人は絶対どこかにいると思う。
間違いなく。魅力的だもの。
ただ、第一印象は、、、その言動や振る舞いから、
少しとっつきにくい人だなぁとか思われちゃうかもしれないけど、
それが彼のオリジナリティーなんだから、仕方がない。


そんな彼に、ボクは少し意地悪な議論をふっかけてみる。
「例えばさ、でもさ、みんなでババヌキとかやっててだよ、ババを引いちゃって負けちゃったけど、
でもボクは全くなにも思わないよ〜みたいな態度だとさ、周りはなんか拍子抜けしちゃわない?」

彼は淡々とそれに答える。

「それはたしかにそうだけど、でも・・・極論言えばその状況でも、あんまり勝ち負けには興味ないんだよね・・・。やっぱおかしいよね?(笑)」と。

小学校から付き合ってるボクには、彼のこの感じはすごくよくわかるんだけど、
初対面の相手だったら、どうかなぁ。。
「またまたぁ〜強がっちゃって、本当は悔しいんでしょ?」みたいに思われるかもしれないな。

でも、残念ながら彼はそういう男じゃないんだ。
心底こう思ってる。「自分のスタイルさえあれば、それでいい」、と。。


その変わらないピュアで真っ正直な姿勢に圧倒されながら、
改めてこういう貴重な旧友がいることを大切にしなければならないな、と思った。


彼は図工の才能もあったけれど、漫画も描けたし、ストーリーを作る能力もあったので、
「仕事の傍ら、何か作品書いてみたりしないの?イヤかもしれないけど、賞に応募してみるとかさ」とか言ったら、
彼は、照れ笑いしながら、、
「そこまで言うならなんか書いてみるかなぁ。構想や設定はたくさんあるんだよ。ま、、、気が向いたらね(笑)」と言っていた。

彼のことだから、その作品を世の中に発表することはもしかしたら無いのかもしれないけど、
もし何かの賞に応募したら、ひょっとしたらひょっとするんじゃないかとか、勝手にワクワクしている自分がいる。応募しないとしても、こっそり読ませてもらおう。


最後に、
彼は今、寝る間も惜しんでドラクエ10をやってるらしい。
やっぱりか・・・やってるのか。

ボクも当然発売日に買ったんだけど、二ヶ月くらいでやめてしまった。
でも、コイツがやってるなら、久しぶりにまたドラクエ10始めようかなぁと思った。

こういうところ、
ボクらはあの頃と何一つ変わってはいないんだ。